2012年上演作品

うしろ姿のしぐれてゆくか漂泊の俳人 種田山頭火

作=宮本 研 演出=兒玉庸策

2012年6月1日(金)~13日(水)
紀伊國屋サザンシアター

種田山頭火(明治15年‐昭和15年)は、30才をすぎて家業の造り酒屋が崩潰したのを機に家を飛び出し、全国を放浪しながら一万句以上の俳句を詠みました。俳句とは季語と五・七・五の定型律を踏んだ文学であるのに、山頭火は規律を無視し無季、自由律で俳句を創ったのです。山頭火の“生と死”を模索する道程が従来の俳句の方法では表現できなかったのでしょう。熊本県生まれの劇作家・宮本研氏は不器用で無頼な俳人山頭火をあたたかく描いています。代表的な戯曲に『ザ・パイロット』『明治の柩』『美しきものの伝説』等の作品があります。

あらすじ

山頭火は黒い法衣に網代笠をかぶり、頭陀袋をさげ、杖をさし、左手に鉄鉢を持ち門口でお経を唱えている。少女が出てきて茶碗一杯の米を鉄鉢にあける。中年女が寄ってきて大根一本を頭陀袋に入れる。経を唱えながら歩いていくと遊女屋の二階から金が放り投げられた。今日の稼ぎはこれで充分だ。出家して以来の行乞は修行の一つなのだ。近頃、夢の中へ山頭火が子供のころに自死した母親の姿がよく現われる。そしてうなされる。夏が近づいて来た。みちのくを歩いてみるか。俳句仲間を頼って芭蕉の跡を訪ねてもいい。東北の仲間の家に妹のシズから手紙がきていた。妹も棄ててきた女房の咲野も放浪する山頭火を遠くでじっと見守っているかのようだ。俳句仲間に散々世話になり迷惑をかけたのち、秋風が吹くころ山頭火は南へ向って歩き出した。小旗を振って兵士たちを見送っている人たちの群れ。山頭火は人ごみを避けて道の片隅に佇む。

ふたたびは踏むまい土を踏みしめて征く

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配役

山頭火内藤安彦
女へんろ塩屋洋子
をなごやの女新澤 泉
妹・シズ若杉 民
妻・咲野白石珠江
少女渡辺えりか
若い娘中地美佐子
若い女中大黒谷まい
女給有安多佳子
 〃 小嶋佳代子
中年の女有安多佳子
 〃 大越弥生
芸者たち大越弥生
 〃 石巻美香
 〃 藤巻るも
声たち(少女たち)石巻美香
 〃 渡辺えりか
 〃 小嶋佳代子
 〃 大黒谷まい

スタッフ

装置深川絵美
照明前田照夫
衣裳緒方規矩子
効果岩田直行