作=小山祐士 演出=兒玉庸策
2012年10月3日(水)~15日(月)
紀伊國屋サザンシアター
ひとこと 小山祐士
私は瀬戸内海の抒情作家などといわれているようであるが、戦後の私の戯曲には「二人だけの舞踏会」「泰山木の木の下で」(民藝上演)……などなど、原爆の問題を主題にしたものが多い。私が原爆投下直後の悲惨きわまる広島を自分のこの目でみているせいか、瀬戸内海の風景とそこに住んでいる人たちの生活に、異常なほどの関心を持ち続けているせいであろう。
私は原爆から離れたい。と思って独りでイライラしているかと思うと、広島に、大学生のように下宿をしたい、と思ったりすることがあるのである。
「冬の花」の構想を練っている時、沖縄問題で世の中が、また一段と騒々しくなった。沖縄―ベトナム―のことが、私なりに、自分でイライラするほど気がかりになり出した。私は、この時機に、「ヒロシマの心」というものについて、観客のかたたちと一緒に、もういちど考えてみたい、と思ったりした。(1970年初演のパンフレットより)
門田仙吉は新聞記者として軍の取材中、広島で被爆した。妻・公枝の懸命な看病で十年近くの闘病生活ののち、二人は瀬戸内海に浮かぶ小さな洗島にやって来た。手伝いの皿山もん、水産実験所所長の鈴岡ら門田家を訪れる人びとも心に戦争の傷を負っている。仙吉は島の生活の貧しさをみかねて、花の栽培をすすめる。いっぽう公枝は戦争で亡くした子供の想い出を抱えている。そんなある日、仙吉の戦前からの噂の女、津村京子が島にたずねて来る…。
皿山もん | 田畑ゆり |
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みどり(その娘) | 印南 唯 |
太田輝夫 | 塩田泰久 |
門田仙吉 | 鈴木 智 |
公枝(その妻) | 樫山文枝 |
今城稔 | 竹内照夫 |
津村京子 | 仙北谷和子 |
鈴岡義秋(水産実験所所長) | 安田正利 |
八杉四郎(医師) | 杉本孝次 |
夫人 | 白石珠江 |
グエン・ドアン(ベトナムの戦傷孤児) | 平山晴加 |
〃 | 山田志穂 |
皿山武吉 | 吉田正朗 |
装置 | 勝野英雄 |
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照明 | 秤屋和久 |
衣裳 | 前田文子 |
音楽 | 武田弘一郎 |
効果 | 岩田直行 |