2025年1月9日
劇団民藝演技部の俳優、伊藤孝雄(いとう・たかお、本名)が、2024年8月14日(水)に都内の自宅で多臓器不全のため逝去しました。87歳でした。
葬儀は同年8月18日(日)に家族のみで執り行われました。お問い合わせ先は下記、劇団民藝へお願い致します。
ここに謹んでお知らせ致します。誠に勝手ながら、御香典、御供花の儀は故人の遺志によりご辞退申し上げます。
伊藤孝雄 (いとう・たかお)
1937年1月31日、岩手県出身。早稲田大学法学部中退。1963年俳優座養成所(12期)を卒業後、劇団民藝俳優教室に入所し1965年劇団員となる。民藝での初舞台は1964年ベーハン作『人質』レスリー・ウィリアムズ役。1967年にサルトル作『汚れた手』ユゴー役と木下順二作『白い夜の宴』一郎役で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。
主な舞台は、チェーホフ作『かもめ』トレープレフ、小山祐士作『泰山木の木の下で』木下刑事、清水邦夫作『わが魂は輝く水なり』斎藤五郎、ミラー作『転落の後に』クエンティン、木下順二作『夏・南方のローマンス』男F、アルブーゾフ作『イルクーツク物語』ヴィクトル、斎藤憐作『グレイクリスマス』ジョージ・イトウ。外部では地人会公演・山田太一作『早春スケッチブック』沢田、エイコーン公演・ウイリアムズ作『欲望という名の電車』スタンリーなど多数。
最近の舞台では吉永仁郎作『静かな落日』広津和郎(2001~14)、久保栄作『火山灰地』三宅鉄也(05)、小幡欣治作『坐漁荘の人々』是草庄吉(07)、原田康子原作・小池倫代脚本『海霧』平出幸吉(08~15)、三好十郎作『峯の雪』宇多宗久(10)、畑澤聖悟『満天の桜』南光坊天海(12)、池端俊策・河本瑞貴作『正造の石』田中正造(19)、吉永仁郎作『新・正午浅草―荷風小伝』永井久一郎。最後の舞台は吉永仁郎作『集金旅行』津村家の番頭(20)。
映画出演では、「密会」(1959年、日活)川島郁夫、「獣の戯れ」(1964年、大映)梅宮幸二、「戦争と人間 第一部」(1970年、日活)標拓郎など多数出演。
テレビドラマ出演や吹き替えでも幅広く活躍。
劇団民藝
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【樫山文枝・日色ともゑ コメント】
目の覚めるような天下の二枚目なのに中身は三枚目でユーモアあふれる愛すべき人でした。どんな役にも真剣にとり組む孝雄さんの姿が目に焼きついています。
恋人だったり夫婦だったり、最後は娘の役まで共演させていただきました。
支えていただいたことの多さにお礼も言えなかったことが悔やまれます。
長い間本当にお疲れさまでした。やっとゆっくり休めますね。ありがとうございました。
樫山文枝
孝雄さんは劇団に入ってすぐにサルトルの『汚れた手』(宇野重吉演出)で主役をつとめました。「回収不能だ!」最後の台詞が東横ホールの客席に響きわたり、感動で席を立てなかったことを今でも思い出します。その後60年以上孝雄さんとは沢山の舞台で共演しましたが誠実で立っているだけで素敵な人でした。
日色ともゑ